2017年02月28日

アートに触れる

先日、桔梗屋の創業者 中丸熊太郎のおじ、中丸精十郎の作品について
筑波大学のM先生に解説をしていただくというとても貴重な体験をしました。

ご縁があって、中丸精十郎による水墨画の屏風を
M先生から譲っていただいたことから、
どういった内容が描かれているのか教えてくださることになったのです。

屏風は二つ折りで、左右の面に縦長の水墨画がふたつずつ並んでいます。
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一番右に描かれているのは梅の花、添えられているのは漢詩だそうです。
驚くことにこの漢詩、精十郎のオリジナルだというのです。

提灯の明かりのような淡い月の影が次第に心もとなくなっていく
誰が林逋の詩をうたったのか、夕暮れに渓谷の橋を渡った

現代語訳するとこのような詩とのことで、
ここに出てくる林逋(りんぽ)というのは中国 宋の時代の詩人で
梅をこよなく愛した人なのだそうです。

漢詩の中には梅という言葉は出てこないのですが、
林逋の句という言葉を使うことで梅を見ていることをうたっていると聞き
はぁ、と思わず大きなため息がもれました。
林逋のことを知らなければ書けないうえに、
知っていてもこの表現の仕方はそうそうできないのでは、と。

他の三枚についても同じように、
やはり有名な詩人を暗示する表現があったり、和歌がよまれていたり、
精十郎という人物の知識の深さ、教養の高さを感じるお話がたくさんでした。

この屏風、きれいに仕立て直してから
どこかで展示をしたいと考えているので
実物を見ていただける日も近いかもしれません。

あべ